ジュラシックパークと地獄の合体

アメリカ

州を跨ぎに跨いで

8/19 Island Park〜Yellow Stone National Park Madison Campground (走行距離:117.8km)

 今日は気持ちよく目覚め、倉庫の冷蔵庫にある卵2つとチーズをいただいて、朝食作成。乾燥機が壊れていたが、洗濯物もなんとか乾いた。

暖かい朝食あるだけで幸せ。

 荷物を詰め、忘れ物がないか確認。倉庫もしっかりロックして、いざ出発。ここから25kmほど行けば国立公園への西口ウェストイエロストーンだ。面白いことに今日ステイした場所はアイダホ州。ウェストイエローストーンはモンタナ州。イエローストーン国立公園内に入るとワイオミング州だ。

一瞬モンタナに戻る。消費税0万歳!

 まず、ウェストイエローストーンに着くと、ビジターセンターに行き情報収集。アメリカの国立公園はどこに入るのも自転車は20ドルのエントランスフィーがかかる。だがアメリカ全国の国立公園専用の年間パスが80ドルで売られている。アラスカのデナリナショナルパークで買っておけば良かったが、今後も国立公園には沢山行くつもりだから、今回ここで購入することにした。(買うからには元取らねば。。)

これで一年間は自由にナショナルパークに入れる。
(ちなみにこれ1枚で車一台分有効。つまり複数人乗っていても大丈夫)

 その後、食料を調達していざイエローストーンへ!西口から23km進むと、1つ目のキャンプサイトである、マディソンキャンプグランドがある。

分かりにくいが、左のほうに西口がある。

 今日はそこにステイすることにして、先にテントをセッティングし、荷物も全て置いてしまった。そこから南に位置するオールドフェイスフルという、一番有名な間欠泉に向かうことにした。キャンプグランドからは26kmだ。サイクリストやハイカー向けのグラベルロードもあるため、いろんなコースを試しながら進んだ。目的地に着くと、硫黄の香りと湯気が立ち上る、なんとも不思議な光景が広がった。硫黄で綺麗な色に染まる場所は綺麗なのだが、一方で木々が朽ち果て、不気味な色が広がる場所もある。例えるのであればジュラシックパークと地獄が合体したような空間だ。間欠泉からお湯が吹き出る瞬間まで1時間はあったため、そこでアイスクリームを食べながら休憩。

綺麗な色だが高温のため立ち入り禁止。

 吹き出す予測時刻が近づくと、周りに人が沢山集まり出した。そしてその時が来ると、「ブシャーーー!」一気に温泉が吹き上がった!

Old Faithful の間欠泉。
虹もかかっていた!
こちらは木々は硫黄で朽ち果て、まるで地獄のようだ。

 みんなが「オーーー」と声を上げながら見ている。2、3分吹き上がるとまたすぐに落ち着いて、蒸気だけがもくもくしている。すっかり満足して、元来た道をまた戻ることに。途中綺麗な色の巨大な温泉湖があるミッドウェイ・ガイザー・ベイスンも見学。とても綺麗なのだが、こちらも同様に、グツグツしており場所によっては地獄の底のような見栄えだ。見学が済むと、かなり遅い時間になっていたため、急いで自転車を漕いでキャンプサイトに戻った。

Midway Geyser Basin。
ここは綺麗に虹色に輝いていた。
一方すぐ隣はこんな色。なんとも不気味だ。

 かなり飛ばして進んでいると、ふと気がついたのが、進む速度が異常に速く感じる。若干下り坂になっていたのかもしれないが、荷物を積んでいないだけでこうも速くなるのか。そんなことを考えながら、暗くなる前に夕食作らなきゃいけないため、必死に漕ぐのであった。

 なんとか暗くなる前に調理ができそうだ。ずっと考えていた今日の献立は親なしの親子丼(野菜づくし)だ。

味付け抜群!めちゃくちゃうまかった!

 近くにフランス人カップルのサイクリストもいたので、少し話し、なんとか暗くなる前までに片付けも済んだ。テントに入るなりあっという間に寝てしまった。

8/20 Yellow Stone National Park Madison Campground〜Grant Village Campground (走行距離:131.3km)

 6時過ぎには起床し、朝ごはんの支度。フランス人カップルはまだ寝ているようだ。

ナショナルパーク内はそこらで野宿は禁止だが、
料金を払ってる分、キャンプグランドは机もあるし水道もある。
支度もしやすい。

 食器洗いも水道があれば楽々。パッキングを終わらせると、その頃にはフランス人カップルも起きていた。「今日はどこまで行くの?」と聞かれたので、「ノリス→キャニオン→レイクビレッジ→グランドビレッジに行く予定だよ!」と話すと、「俺たちもグランドビレッジにステイする予定だよ!また会えたらな!」と言ってくれた。

 昨日、受付でサイクリストとハイカーには朝に無料でコーヒーが提供される旨聞いていたので、フリーコーヒーをいただた。カナダは巨大なRV(キャンピングカー)でキャンプする人も、一台のチャリンコと小さなテントだけでキャンプする人も大体同じ料金設定だったが、ここでは自転車や、ハイカー(徒歩)の人は料金も大分安く設定されてる。しかも事前予約なしでも、キャンプサイトの場所は確保されてるケースが多いし、コーヒーなどのサービスもついてる。もう少しカナダも優遇措置してくれれたら助かったのにな、と少し思った。

 出発して間も無く、滝を少しばかり見ながら約20kmでノリスに到着。ここは随分大きな間欠泉地帯だ。

途中にあった滝を見学。
アラスカやカナダでも散々滝見てるからあまり大きな感動はなかったが。。
Norris到着。広い土地に煙が吹き上がる。
先日買ったアロハシャツ着てます。笑
ここも生えてる木は硫黄で朽ち果てている。
独特の光景。

 ノリスを見学した後は、そこから約23km地点にあるキャニオン・ビレッジだ。ここに向かう途中は坂道が続きなかなか険しかったが、ゼイゼイ言いながらもなんとか到着。このポイントは割と設備が整っており、ガソリンスタンドや食材を購入できる場所、レストランが立ち並ぶ。初めにガソリンスタンドが目に入ったので飛び込んで色々と買ってしまったが、後でしっかりとした食品売り場が別の場所にあったため少しガックリ。値段も思ったほど高くはなかった。とはいえ、ガソリンスタンドでも暖かいフードを食べれたし、追加で持参したパンでサンドイッチも食べれた。

 周辺を散策していると熊よけスプレーレンタルショップが目に入った。カナダで誰かが話していたが、イエローストーンに来る大量の中国人観光客が、みんな熊よけスプレーをレンタルして腰に装着し、観光しているという話を思い出した。国立公園内のトレイルや森の中で熊よけスプレーを持ち歩くのならまだ分かるが、人の沢山いる観光地で持ち歩く意味は全くない。カナダのユーコンやブリティッシュコロンビアの森の中を旅してきた身としては全く滑稽な話だ。レンタル業者も商売がうまいものだ。

キャニオンビレッジにベアスプレーレンタルショップが。
意外にいい値段で貸し出しを行っているようだ。

 キャニオン・ビレッジから少し離れたところに、キャニオンと言われる大きな滝を見られるスポットがある。昼食後はそこに移動して滝を見学した。

肉眼で見ないとこの大きさはわからない。
午前に見た別の滝とは大違いだ。

 それからレイクビレッジという場所に移動をすることにした。公園内をぐるっと回る作戦だ。イエローストーンは舗装された道路上でも大体標高が2,000m前後あるため木に囲まれた森が多いが、場所によっては何もなく乾燥した土地が拓けていたり、岩壁が飛び出していたりとまちまちだ。レイクビレッジに行く途中は、河川敷に拓けた土地がだだっぴろく拡がっていた。

黄色に光る野原が遠くまで続く。

 道中には、マッドガイザーと言われるドロドロの間欠泉もあった。泥の中からグツグツ硫黄が発生しており、これもまたなんとも気味が悪い。けどこの泥を冷やして泥パックしたら肌がツルツルになりそうな気も。。アラスカからずーっと外で生活しており肌は日焼けと乾燥でボロボロ。ユタのソルトレイクシティに着いたら、知り合い宅にしばらくステイするつもりだからそこでケアでもしよーかな。

濃厚な硫黄の匂いが広がっていた。
この泥を持ち帰ってパックしたい。

 最近続けて走行していたことと、山道の繰り返しで足は悲鳴をあげていたが、レイクビレッジにも無事到着。ここでの見所は、目の前に広がるイエローストーン湖。確かに綺麗な景色ではあるが、これも今の私にとってはただの大きな湖程度にしか見えなかった。ここまで来る途中に沢山湖も見ていたし、カヤックで湖や川も十分に下っていたからだろうか。せっかくの機会なのに感動が半減しているのが少し残念だ。

 また、疲労によりこの先の目的地まで自転車を漕ぐ気力がなくなっていた。ここ、レイクビレッジにもお店はあったので、自分を奮い立たせようとエナジードリンクを飲んだ。するとほとんどは気持ちの問題なのだろうが、やる気が少しづつみなぎってきた。更に携帯電話の機能で計測しているスピードメイターや高度上昇距離を見ていると、記録が伸びていく様子が数字ではっきり見えて、テンションが上がっていった。クライマーズハイならぬ、サイクリストハイとでも言うべきか。エネジードリンクのおかげで、あっという間にウェスト・サムに到着した。このすぐ近くのキャンプ場にステイする予定だが、まずはこのウェスト・サムを覗いてみてからだ。ここは湖のすぐ横に間欠泉が広がっている。

West Thumb。湖を一望しながら間欠泉も見られるスポットだ。

 夕方6時過ぎ頃に、今日のキャンプグランド、グラントビレッジに到着。受付で手続きを進め、最後にスタッフのおじさんに、「シャワーはいくら?」と質問。一昨日シャワーは浴びたし、まだ我慢できるが、値段によってはシャワーに浴びてもいいかなと思っていた。すると、「4.5ドルだよ。」と答えが返ってくる。一瞬シャワーを浴びるか迷ったが、おじさんは続けて「でも、これを君にあげよう」と一枚の紙切れを渡してくれた。どうやらシャワーを浴びるためのチケットらしい。おじさんはウインクをした。小さなことだが、こういった粋なはからいがとてつもなくありがたく感じ、人の優しさを強く感じる瞬間でもあるのだった。

 キャンプサイトに移動し、テントをセットしシャワーを浴びると、1人の女の子が犬を連れて車で現れた。「ここのキャンプサイトをシェアしてもらえない?」と聞いてきた。私がいる場所はサイクリストやハイカー専用のキャンプサイトだが、通常のキャンプサイトはどこも埋まって入れないらしい。そのためスタッフが彼女をここに送ったようだ。私は「もちろん」と答え、しばらく彼女と話した。彼女の名前はケリー。2週間の休みを取って、1人でロードトリップをしているようだ。更に別のキャンプサイトから少年がやってきて、「ラザニア作りすぎちゃったんだけどいる?」と聞いてきたので、私はまた「もちろん」と答えた。

ケリーとラザニアをシェアしたが量がありすぎて食べきれず、
我々も隣のキャンパーに残りのラザニアを譲った。
恐らく私1人で2キロくらいのラザニアは食べた。

 お腹いっぱいになったところで、後片付けをして今日は就寝。(ちなみに先日会ったフランス人カップルもかなり遅い時間にやってきたので挨拶したが、疲れもあってあまり会話することはなかった。)

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