さよならアラスカ。こんにちはユーコン。

アラスカ

小さな暴走族と小さな盗人

6/13 Tok街中 (走行距離:8.51km)

 今日は休養日。8時に起きてキャンプサイトからガソリンスタンドへ。コーヒーとサラダを購入。やはりアラスカは小さい町ほど物価が高いが、新鮮な野菜がなかなか食べられないチャリダーとしては、どうしてもサラダが食べたい気分だった。キャンプサイトへ戻って朝食を済ませ、10時頃に街の中にある小さな図書館へ。この図書館はビジターセンターと同じ建物に作られており、街の人のボランティアで運営されている。小さいが無料でインターネットも使えるので今日はここで一日カナダについてのリサーチやブログの更新をすることに。

田舎町。だだっ広い道に建物がポツポツとある感じ。

 カナダはETAという観光VISAが必要と聞いていたので調査すると、どうやら陸路での入国は必要ないようだ。少し心配ではあったが何も取得せずにそのまま向かってみようと決めた。

 ほぼ一日中図書館にこもり、明日からの必要物資(主に食料)を調達してまったり。この先、アラスカ内には小さなコミュニティはありそうだが、店などがしっかりある街はここが最後になりそうだ。となれば今日は一人でプチ打ち上げをしようと思い、晩飯はレストランへ。

街唯一のきちんとしたレストランに駆け込み、念願のステーキをオーダー。するとなんとサラダバーも食べ放題でついてくるではないか。ついついクラフトビールも追加でオーダー。今朝食べたサラダ代がもったいなかったなと感じ、ついつい食べ過ぎてしまった。最後は吐きそうになりながらキャンプサイトへ帰宅。

Fast Eddy’s Restaurant。
アメリカに来てようやくアメリカらしい食事。

6/14 Tok〜Deadman Lake Campground (走行距離:104.79km)

 今朝は早めの起床と思いながらも二度寝。結局9時くらいの出発となる。アラスカは白夜だし遅めの出発でも問題ないよなと思いつつペダルを漕ぎだす。

2日お世話になったキャンプグランド。値段も一番安いしシャワーも完備。
快適に過ごすことができた。
途中”Canada”の文字が見えてきた。

 もうすぐアラスカも終わっちゃうなーと思いながら旅を思い返していると、急に耳元でブンブン音が聞こえてくる。ハエかハチだから何もしなければこちらに危害は加えてこないだろうと思っていたが手の甲にチクっと痛みが。見てみると見たことないようなデカさのハエが手に止まっており振り払うと血が出ていた。「うわ、ハエのくせに噛みやがった」と思った途端太ももにも同様の痛みが。これが結構痛い。時速20キロくらいで漕いでいても集団で無限に付きまとってくる。まるで暴走族に追いかけ回されてる気分だ。

アラスカ最後のガソリンスタンド。ネイティブ・アメリカンが運営していた。

途端に怖くなってスピードを上げる。時速30キロくらいになるとついてこないが、重い自転車は上り坂になると時速7キロほどしか出ない。ヒーヒー言いながら進んでいると「Last Gas」と書かれた看板が現れる。クタクタになりながらここのガソリンスタンドに飛び込んだ。今日はとてつもなく暑いし虫のせいでえらく疲れており、高いがアイスクリームを2個もたいらげてしまった。

こんなアイスで3ドル近くする。サイズは大きいけど高い高い。
早くアラスカから脱出せねば。

 トックのビジターセンターで事前に聞いていた無料キャンプグランドがようやく見えてきた。無料なのにとても綺麗なキャンプ場。ボランティアで運営されているようだ。ここにステイしているキャンパーにハエの話をすると、「ホースフライ」とか「ディアフライ」と呼ばれているらしく、野生のカリブーもこのハエから逃げるらしい。毒はないから良いものの痛いのはごめんだ。

湖の名前はともかく、綺麗なキャンプグランドなんです。
湖では無料でカヌーもできるが、私はカヌーではなく沐浴。
冷たいがさっぱり。
今日はビーフなしのビーフシチュー。

 熊ケアのためテントから離れた場所で夕飯を済ませ、テントに戻りバッグの整理をしていると、「あれ?食材入れてた袋が破けてる?」中身を確認すると貴重なプロテインバーが一つない。バッグが沢山ありすぎて、しょっちゅう物が行方不明になるから、そのうち出てくるだろうと思っていると、近くの木の上から「ガサガサ、ボテっ」と何か落ちてきた。”リス”も木から落ちるのかと思いながら様子を見に行くと私のプロテインバーが落ちているではないか。上を見上げるとリスがこちらを見ながら激しく鳴いてくる。「それは俺のだから取るな!」とでも言っているのだろうか。つい「いやいや、これは俺の食料がな」とそいつに言ってしまった。そして貴重な食料を取られたと思うとなんだか急に可愛いリスが憎たらしく見えてきて、石を投げつけてしまった(もちろん当たらないが)。悔しい思いをしながらもプロテインバーの半分は綺麗な状態だったのでそれにかじりつき、今日は寝ることに。

初めての国境越え by チャリ

6/15 Deadman Lake Campground〜Snag Junction, Yukon Govt. Campground (走行距離:99.17km)

人も沢山溜まってみんな写真撮影をしていた。

 さて、いよいよ今日はカナダ入りする日。しっかり早朝に起き、湖の水を煮沸してラーメン作成。湖は流れがないから川と違い少し泥臭い。昨日は暑かったが曇り時々小雨で少し肌寒い。天気が悪いとあまり気分は晴れないが、初めて自転車での国境越えに少しワクワク。キャンプ地から47キロくらい進むと、反対車線にカナダからアメリカに入国する際の審査場が見えてきた。それを横目に進むとアメリカとカナダの国旗が掲げられたモニュメントらしきものが。ここからカナダかー、と思うも景色が変わるわけではなく、ひたすら続く森を眺めながら更に前進。変わったものというと、標識がマイルからキロに。そして道路の質だろうか。路肩はほぼグラベル状態の部分が多く、白線も消えかけている。広大すぎる土地のせいなのか、カナダ人の方がアメリカ人よりも仕事が雑なのか。。

ここから第2章。カナダはユーコン準州である。

モニュメントから20キロほどの所にカナダへの入国審査場が見えてきた。審査官にいくつか質問され、最後に「どこまで行くの?」と聞かれた。「アルゼンチンだよ」というと、笑顔で「頑張れよ」と言ってくれ、あっけなく入国することができた。

入国審査場にはカナダのマークが。

審査場を超えるとすぐのとこにBeaver Creekという小さな街がある(街と言ってもここもモーテルとガソリンスタンドがいくつかあるだけだが)。アラスカのAT&Tで契約した国際インターネットプランは全く機能していなかったので、ここのビジターセンターで話を聞くと、20キロほど先にキャンプグランドがあるようだ。Wi-Fiを借りて天気予報等をチェックし、近くのガソリンスタンドで水を補給させてもらった。

ビーバークリークでかなり休憩したこともあり、少し遅い時間にキャンプグランドに到着。ユーコン州が運営しているキャンプグランドはどこもキッチンシェルターと薪が用意されているらしく、立派なキャンプ場であった。キャンピングカーで来ている人も沢山おり、安心だ。明日からしばらく雨が続く予報だったので、ギアが濡れることを懸念していたが、近くにいた人たちが、「屋根のあるキッチンシェルターで寝なよ」と言ってくれたので、遠慮なくそこに移動。更にいろんな人と話しているとビールや余ったご飯も分けてくれ、良い夜を過ごすことができた。

カナダ人キャンパーのポール。ビールとピザとソーセージを分けてくれた。

 明日晴れますように。

コメント

タイトルとURLをコピーしました